音楽と酒と時々「・・・」

日々感じたことを健忘録的に書いていきます。

現場潜入ルポ?

電車が車で暫く時間があるので、
ホームのベンチに座って文庫本を読んでいると、
席を一つ空けて座っていた女の子から話しかけられる。
 
「この電車って、渋谷まで行きますか?」
「ええ、行きますよ」
 
本来ならここで会話は終わりだけど、
何かこんな事を聞かれるのも変だな〜と思い、質問をし返してみる。
 
「渋谷に行くのは初めてですか?」
「はい」
 
ガクッ。拍子が抜ける。
えぇ〜…、見るからに学生の子が渋谷に行った事が無いなんて。
 
「何処から来たんですか?」
「南越谷(駅)」
 
ますます不思議だ。越谷だったら行こうと思えば行けるじゃないか。
何かヤバそうだな〜。「これ以上深入りするのも…」と思いつつも、
この子自身に凄い興味が湧き、会話を続行。 
 
「何処に行くんですか?」
「おれ?おれも渋谷だよ」
「へ〜(ちょっと笑顔になる)何しに行くんですか」
「CLUBに行くんだ。CLUB知ってる?そう、知らないか。
 あなたは何しに行くの?」
「何となく。何か楽しい事があるかなと思って。
 家出して行く所が無いんです」
 
出た!家出少女!!
 
『警察24時』的な番組で知ってはいたけど、おれ自身が遭遇するなんて。
何でも、今の現状が何もかもイヤになって飛び出して来たそう。
 
「親とか、どうしてんの?」
「親、離婚して。それから(私は)家に(帰って)いない」
 
ここまで聞いちゃったからには、乗っかった船だ。
色々と話をしようと決めて話を続けると、
○○店に住み込みで働いていて、幾つも転々としている事、
昔は△△をしていた事、本当は※※歳って事、
生きて行くためにはお金が必要で、その為に体を張っているんだなどなど、
聞けば聞く程ディープ。普通の若い子が興味があるであろう
流行歌やテレビの事も興味が無く、彼女の価値観に、
男女とも最初に性行為ありきで考えているのも気になる。
 
もう絶望的だ。
 
でも、将来の夢を聞いた時に「お嫁さん」と言ってくれたのが救いだ。
夢、ちゃんとあるんじゃない。そんな事よりも話の流れから…
 
 
明らかにおれは誘われている。
 
  
彼女の着の身着のままの格好を見れば、
恐らくその場から飛び出して来たのは本当だろう。
携帯電話も持っていないと言う。
美人局じゃないと思うけど、誘われてもねぇ…。
 
話の内容からそんな危ない橋は渡れない。
下手をしたら新聞沙汰だ。
会話だけを楽しんでその場を凌ぐ事に。
 
でも、話をしていると激しい事をやっているのとは裏腹に
結構、根は純な感じがした。おれと話している時、嬉しそうだったもん。
愛に飢えているんだろうなぁ…。
だからそんな行動に出る。話をしていたら切ない気持ちになるけど、
おれにはどうする事も出来ないのだ。
でも、今も浦和に住んでいる身なら…(おっと(笑))
色々と話をしていたら渋谷に到着。ハチ公口まで送り、別れる。
 
「また会えるかな」
埼京線に乗っていれば会えると思うよ」
 
ウソ。
 
しかし…これで良かったんだろうか。別れてから色んな思いがよぎる。
10代の女の子を一人で夜の渋谷に放り出して。
パーティに連れて行けば良かったかな…。
とりあえずここなら安全な場所だと思ったり。
 
これじゃ、おれは“夜回り先生”にはなれんな。